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新築で注文住宅を建てる際の細かいところまで、時系列を追いながら綴っていきます

日記005【不完全が評価される宝石の世界】

宝石(結晶)は完璧ではいけない

人々を魅了する宝石の世界には、不思議なルールがあります。

宝石の中に不純物や欠陥が入っていないといけないのです。

ダイヤモンドを例にとってお話ししましょう。

 

 

ダイヤモンドは、完全と完璧の象徴でした。

「永遠の輝き」のキャッチコピーの通り、硬く美しいダイヤモンドは人に不変の魅力を感じさせます。

 

ダイヤモンドの4C(カラット=重さ、カラー=色、クラリティ=透明さ、カット=輝き)のうち、カット以外は石そのものの品質で決まります。

 

カラーはダイヤモンド中に含まれる不純物(窒素、ホウ素、クロム等様々)によって無色から変化していきます。多くは窒素が含まれることで黄色くなっていきます。

 

クラリティはダイヤモンド中に存在する欠陥(炭素原子の配列の乱れ=隙間、穴、歪み)によって透明度を失っていきます。(実際には点々の穴が見えるようになります)

 

最高ランクは当然、カラーは完全無色、クラリティは完全透明です。

 

しかし、自然界では不純物も欠陥も全くないものは絶対に出来ません。自然界にはクリーン環境、単一原料しかない環境は存在しないからです。

 

それでも無色透明に近くなるよう、原石を出来るだけ不純物や欠陥を避けてカットすると、大きさが小さくなってしまいます。

 

そのため、大きくて無色透明の天然ダイヤモンドは非常に高価なのです。この世のほとんどの人は一生、完全無色透明に限りなく近い天然ダイヤモンドを見ることはないでしょう。

 

 

しかし科学の進歩により、実験室であれば不純物ゼロ、欠陥ゼロに近い大きなダイヤモンドが出来るようになってきました。

ダイヤモンドに非常に良く似たキュービックジルコニアという宝石もあり、こちらは人工ダイヤモンドよりも圧倒的に簡単に実験室で作ることができます。

キュービックジルコニアも、天然ダイヤモンドに比べれば完全無色透明に近いものが作れます。

 

こういった天然ダイヤモンドそっくりの宝石が出てきたことで、価値の逆転が起こりました。

 

 

「不完全なのが本物の証」

 

今日のタイトルです。

 

「本物は完全無色透明は現実的に無理なので、ちょっと不純物が入っていて、ちょっと色が着いているのが天然物だ」というわけです。

 

ダイヤモンドの最高ランクに価値がなくなった瞬間でした。

 

 

しかし今では人工ダイヤモンドでも天然ダイヤモンドと同じように不純物を入れたり、欠陥を取り込んだりできてしまうので、この不完全ささえ模倣してしまいます。

最近では希少性が高いピンクダイヤモンドやグリーンダイヤモンドですら、人工で作れるようになってきたと言います。

 

ダイヤモンド取引会社はこの「本物」と「偽物」を区別するために、必死になって分析装置を開発しています。

 (私はどちらも正真正銘のダイヤモンドですから、人工も天然も「本物」だと思っています。)

 

 

いつか「完全に近いものが出来るのに不完全を目指した人工ダイヤモンド」が、「不完全な物の中の僅かな完全な物に価値をつけていた天然ダイヤモンド」を淘汰するのでしょうか。

 

最後に残るのは結局、「不完全なダイヤモンド」です。

 

無色透明、完璧で完全の象徴だったダイヤモンドは、不完全となることで自分が本物であると証明しようとしています。

 

 

完璧を追い求めるが、完璧でないほうが良い

ダイヤモンドの顛末は正に「本末転倒」、おかしな話のように感じますが、人間は元々不完全なもの、未完成なものが好きなようです。

 

 

人間の顔が完全左右対称だと、人はその顔を「不自然=不細工」だと感じるそうです。

 

逆柱(さかばしら)というものをご存知でしょうか?日光東照宮が有名なのですが、「完成は崩壊の始まりである」という考え方から、永遠に未完成の状態にするためにわざと柱を逆さにしているのです。

 

 

自然には完全なもの、完成したものはありません。

人間も自然の一部なので、不完全なもの、未完成なものに親近感を持ってしまうのかもしれません。