TeruPaPaの家と子どもと健康と

新築で注文住宅を建てる際の細かいところまで、時系列を追いながら綴っていきます

A019【2016/07/18 高気密をどこまで重視するか】

前回は高断熱の話でした。今回は高気密について考えていきましょう。

 

目次 

 

高気密とC値

高気密とは、その言葉の通り

気密性が高い=密閉されている=隙間がない

ということです。

これを数値的に表しているのが「C値」です。

 

C値は隙間面積[cm2]を述べ床面積[m2]で割った値なので、

例えばC値が2で、述べ床面積が30坪=約100m2だとすれば、

隙間面積は2×100 = 200cm2となります。

これは10cm×20cmの紙一枚分(B5ノートの半分以下)しか、家全体で隙間がないということになります。

 

C値が小さいと、

隙間がない⇒隙間風がない⇒エアコンで暖めたり冷やしたりした空気が逃げていかない⇒省エネ

というイメージが湧くと思います。

 

しかしちょっと調べてみると、気密住宅においては24時間換気が義務付けられています。

 

気密性が高すぎて空気の流れがないと、室内で発生する有害物質(一酸化炭素やホルムアルデヒド)がどんどん高濃度になってしまって危険なので、数時間で室内の空気を完全に入れ替えるためだそうです。

 

換気によって数時間で空気が全部入れ替えられてしまうならば、エアコンでせっかく温度調節した空気が出て行って意味がなくなってしまう気がしませんか?

 

24時間換気をしなければならないということは、

外から空気が入ってくる

⇒せっかくエアコンで温度調節した空気が入れ替わる

⇒また暖めたり冷ましたりしないといけない

⇒省エネじゃない!

と私は一瞬思ってしまいました。

 

しかしこれは違います。

やはり気密性能が高いほうが省エネになります。

 

換気による空気の入れ換えのほうが、隙間風による空気の入れ換えよりはるかに効率的に温度制御できるからです。

 

 住宅において、風を起こす装置は大きく分けて2つしかありません。換気扇と温調機器(エアコン、ストーブ、扇風機etc.)です。

 

換気扇の目的は、室内の空気を屋外に排出することです。キッチンやお風呂、トイレに付けられています。

気密住宅の場合、室内空気の出口である換気扇だけでは換気能力が不十分なので、吸気口という空気の入口も必要となります。

 

f:id:terupapa:20170204180531p:plain

上のイメージ図をご覧ください。

左下にエアコンと吸気口があり、右上に換気扇があると思ってください。

 

左が気密性の高い空間、右が低い空間です。

温調機器により部屋全体を冷やそうとしたとき、左の空間では空気の入口と出口が一箇所ずつしかないので、エアコンからの冷気は部屋を横切って換気扇まで流れます。

 

しかし隙間が多い右の空間では、エアコンの冷気は近くにある隙間から出て行きます。換気扇が入れ換えてくれる空気も、近くにある隙間から入り込んだものが大半になってしまいます。結果として部屋の中央にはほとんど空気の流れがなく、温度制御が上手くできません。これを何とかするには、隙間から出入りする量よりも強い風の流れが必要です。つまり、エアコンの出力をガンガン上げる羽目になり、電気代が高くついてしまうわけです。

 

このあたりは吹き矢やストローをイメージして頂ければわかりやすいかと思います。

吹き矢:

矢=空気の流れ  筒=空間  吹く強さ=エアコンの強さ

ストロー:

水=空気の流れ  筒=空間  吸う強さ=換気扇の能力

です。

筒に小さな穴が無数に開いている=空間に隙間が多い状態

だと思ってください。

小さな穴が開いた筒でいくら吹いても矢は強く飛んでいかないし、いくら吸っても中々口まで到達しませんよね。

 

気密性能が低い家では、エアコンを強にして無理矢理風の流れを作る必要があるので電気代のかかってしまうわけです。

 

 

「エアコンは使わないし、常に窓を開けて換気能力全開にするから気密住宅である必要はない」

という主張も正しくありません。

窓を開けて換気する場合でも、隙間がなく換気の均一性が高い気密住宅のほうが風が良く通ります。これも先程の吹き矢やストローをイメージして頂ければわかるかと思いますが、決まった入口と出口以外に隙間があると、風の流れは非常に悪くなります

 

 

C値を決める要素は?

このように、C値もQ値(UA値)同様、値が小さすぎてデメリットが発生するものではないようです(過剰性能でコストが無駄ということはあるでしょうが)。

 

問題は「どのくらいの値を目指せば良いのか」というところですね。

 

Q値(UA値)にはZEH基準という目安がありましたが、C値にはこれがありません。

http://www.terupapa.com/entry/A018

 

平成11年の次世代省エネルギー基準では、北海道や東北で「2」、その他の地域で「5」という設定値がありましたが、その後の基準からは削除されているようです。

 

私の個人的見解ですが、C値は省エネとは関係ないから削除されたのではなく、Q値と違い実測しなければわからない為、手間が増えて面倒なので削除されたのではと思っています。

 

Q値(UA値)は家の間取りや外壁、窓材の仕様から計算で求めることが出来ますから、家を建てる前から数値としてわかるものです。

 

それに対して、C値は家が大まかに完成した段階で機械を使って風を送り込み、室内から外への空気の抜け具合(圧力・温度・風速)を測って求めます。

換気用として予め設けられている換気扇や吸気口等の隙間は塞いで、送風機を使って規定量の風を送り込まねばなりません。

 

 

費用がかかり、手間も増える上、「施工者の腕に左右される」数値なので、ハウスメーカーとしても怖くて測りたくないというところもあるかと思います。

隙間の大きさは柱やボードの寸法、気密シートの貼り方、断熱材の入れ方等に大きく左右されますから、建材がどうこうという話だけではなく現場の大工さんの技術によってC値はどうしても変わってきます。

 

大手ハウスメーカーの場合、大工さんを抱えているわけではないので、下請けとして雇うはずです。

もしその大工さんの腕が未熟で、使用している建材から予想されるより悪いC値が出てしまったとなれば、これは当然ハウスメーカーの責任になります。

しかも建てた後(正確には内装工事を始める前)までC値はわかりませんので、もしそこでC値が低く問題になった場合、家の引き渡し日程がずれる可能性もあって、施主にとってもメーカーにとっても大問題に発展しかねません。

そのくらい、優れた C値を保証するのは勇気が要ることです。

 

その点、一条工務店は全棟C値測定を行なっており、しかも実測の平均値は0.61です。

施工時の現場監督としての自覚を持って仕事をしているのであろうことがわかり、好感が持てます。

全棟で気密測定を実施|I-HEAD構法[省エネ性能]|耐震住宅の一条工務店

 

 

 

C値はいくつを目指すか

C値とQ値、どちらが欠けても実際の快適性や省エネ性は大きく損なわれます。

いくら壁や窓を高断熱にしても、隙間だらけでは快適な空間を保つことが出来ませんし、いくら隙間がなくても、壁や窓を通して室外の温度が伝わってしまっては元も子もありません。

 

ここで、C値は実測値であるという性質上、「変化する」数値だということも忘れてはなりません。

木造の場合は夏と冬で木材が膨張したり収縮したりしますから、季節によってC値(隙間)は変動するでしょう。

同様に、経年劣化によっても徐々に隙間が増え、C値が悪くなっていくことも想像に難くありません。

 

「C値を絶対0.5未満にする」

と意気込んで家を建てても数年後には「1」になっているかもしれませんし、

「5未満ならぎりぎり気密住宅の体裁は保てそうだな」

と思って建てたら数年後には「10」になっているかもしれません。

悪くなることを前提に考えるべきでしょう。

 

C値を非常に気にするのであれば、専門業者に頼めば3~10万円で測定出来るようです。

 

前述した平成11年基準のC値=5では、現在の住宅においては非常に気密性が低い部類に入ると言います。

現在の気密住宅ではC値が2以下、高気密を謳っているところは1以下、海外基準(パッシブハウス)では0.2以下という状況です。

 

このC値0.2以下というところまで来ると、屋外がマイナス20度でも暖房を付けなくて何とかなるレベルだとか・・・果たしてこの温暖な日本において、コストと天秤にかけたときそのC値が必要なのでしょうか?

このパッシブハウス基準まで到達するには、窓を二重構造から三重構造にする、断熱材の厚みを一般的な日本家屋の5倍にする等の相当の工夫が必要らしく、ここまでしなくても冬に暖房を付けない生活は実現できるような気がします。

逆に寒い地域に住む人にとっては、このパッシブハウスという世界基準が良い指標になるかもしれません。

 

一般的に木造のほうが押し付けたときに僅かに材料が変形するため、鉄骨よりも隙間を減らしやすく気密性が高くなるようです。

断熱方法によっても差があり、柱の間を断熱材で埋める充填断熱よりも柱の外側を断熱材で覆ってしまう外張断熱のほうが気密性を高くしやすいとのことです。

 

このようにC値は家の造り方、職人の腕、実測が関わってくるので、ハウスメーカーで建てるにしろ地元工務店で建てるにしろ、気になる人は

「どのくらいのC値が達成できるんですか」

「実測して保証してくれるんですか」

と確認しておくべきかもしれません。

 

私の場合は温暖な地域に住んでいることもあり、

「出来ればC値を測ってほしいけど、絶対必要ではない」

「もしC値を保証してくれるのであれば、現在の気密住宅のボーダーラインである2以下を目指してほしい」

くらいのスタンスで行こうと思います。

 

温暖な地域に住む私にとって、C値が0.8か1か1.2か、そのような差があまり心に響きませんでした。

「何となく2以下なら快適なんじゃないの?」

という感じです。

この数字を必死になって追い求めていると、私の望んだ家から遠ざかっていったり予算オーバーしたりしそうなので、このくらいで留めておこうと思います。

 

 

前回と今回を使って断熱性能、気密性能について話をしてきました。

 

取っ付き辛い話だったと思いますが、長文を読んで頂きありがとうございました。

 

次回は会社の住宅ローン説明会に参加したので、その話をしましょう。